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四極山うち出でて見れば笠結ひの
島漕ぎ隠る棚無し小舟

歌の意味
四極山を越えて見晴らしのよい所に出て見ると、笠結ひの島の陰へ漕ぎ隠れてゆく棚無し小舟が見える。
鑑賞
巻第二十 大歌所御歌 1073

詞書「大歌所御歌 四極山振」
 山を越えて海が見渡せる所に出ると、小さな舟が島陰へ漕ぎ隠れてゆく、という眺望を歌う。旅の途上で開けた景色に出会った瞬間をとらえた叙景の歌である。作者は記されていない。
 大歌所は、宮中の節会や神事で歌われる大歌(宮廷歌謡)を教習し管理した役所である。古今和歌集の巻二十はその歌を集めた巻で、大歌所御歌、神遊びの歌、東歌の順に並ぶ。
 万葉集の巻三に載る高市黒人の歌「四極山うち越え見れば笠縫の島漕ぎ隠る棚無し小舟」とほぼ同じ歌で、それが歌謡として伝えられたものである。

 初句「四極山」は、歌の舞台となる山の名である。摂津の住吉とする説と三河とする説がある。
 二句「うち出でて見れば」は、山を越えて視界の開けた所に出て見るとの意で、「うち」は接頭語である。
 三句「笠結ひの」は、島の名にかかる。万葉集では「笠縫の」とあり、伝わる間に語が変わったものである。
 四句「島漕ぎ隠る」は、島の陰へ漕いで隠れてゆくの意で、舟が視界から消えてゆく動きをとらえる。
 結句「棚無し小舟」は、船棚(舟べりの板)のない小さな舟の意で、体言止めにより遠ざかる小舟の姿を余韻として残す。

たななしをぶね:舟べりの板(船棚)のない小さな舟
こぎかくる:漕いで物陰に隠れる
出典
古今和歌集
前の歌
水茎の岡の屋形に妹とあれと 寝ての朝けの霜の降りはも
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神垣の御室の山の榊葉は 神の御前に茂りあひにけり