朝ぐもり日の入り行けばみ立たしの
島に下り居て嘆きつるかも
- 歌の意味
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朝曇りして日が隠れてゆくと、皇子がお立ちになった庭の島に下りて座り、嘆いたことだ。
- 鑑賞
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巻第二 挽歌 188
詞書は前の歌に続き「皇子尊の宮の舎人ら、慟傷して作る歌二十三首」
朝から曇って日が隠れていくと、皇子が立って眺めた庭に下りて座り込み嘆いたと、曇る空に心の暗さを重ねた一首である。
詞書によれば、草壁皇子の宮に仕えた舎人たちが、皇子の死を嘆き悲しんで作った歌二十三首である。左注は日本書紀を引き、皇子が持統天皇三年(689)四月に亡くなったと記す。一連は、主を失った島の宮の庭や池、殯宮の置かれた真弓の岡や佐田の岡で宿直する舎人たちの嘆きを、さまざまな場面から詠み継いでいる。本歌は一連の十八首目である。
作者は草壁皇子の宮に仕えた舎人たちで、一人一人の名は伝わらない。舎人は皇族や天皇の身近に仕えて警護や雑務にあたった役人である。柿本人麻呂が舎人の立場に立って作ったとする説もあるが、定まっていない。
初句「朝ぐもり」は、朝から空が曇ることの意である。
二句「日の入り行けば」は、日が雲に隠れていくとの意で、日の御子である皇子の死を暗示するとされる。
三句「み立たしの」は、皇子がお立ちになったの意で、一連の八首目の第百七十八首などと同じ語である。
四句「島に下り居て」は、庭に下りて座っての意である。
結句「嘆きつるかも」の「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形、「かも」は詠嘆で、嘆いたことだと結ぶ。
おりゐる:下りて座る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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つれもなき佐田の岡辺に帰り居ば 島の御階に誰れか住まはむ
- 次の歌
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朝日照る島の御門におほほしく 人音もせねばまうら悲しも