我が背子が古家の里の明日香には
千鳥鳴くなり妻待ちかねて
- 歌の意味
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あなたがかつて住んでいた家のある里、明日香では、千鳥が鳴いている。妻を待ちかねて。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 268
詞書「長屋王の故郷の歌一首」
都が明日香から移ったのち、旧都の明日香をしのんだ歌である。親しい人の古い家が残る明日香の里で、千鳥が妻を待ちかねて鳴いていると、人の去った故郷の寂しさを千鳥の声に託している。左注には、明日香から藤原宮に遷った後にこの歌を作ったのか、とある。
作者の長屋王は天武天皇の孫で、高市皇子の子である。左大臣にまで昇ったが、神亀六年(729)の長屋王の変で自尽した。
初句「我が背子が」 背子は親しい男性を呼ぶ語で、明日香に住んでいた友を指すとみられる。
二句「古家の里の」 古家はかつて住んでいた古い家のことである。
三句「明日香には」 明日香は藤原京以前に宮が置かれた旧都の地である。
四句「千鳥鳴くなり」 「なり」は音や声によって推定する助動詞で、千鳥の鳴く声が聞こえる、の意である。ここで句切れとなる。
結句「妻待ちかねて」 千鳥が連れ合いを待ちかねて、の意で、倒置によって鳴き声の理由を後から示し、人の去った旧都の寂しさを重ねている。
ふるへ:古い家、以前住んでいた家
つま:夫婦や雌雄の連れ合い
- 作者
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長屋王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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むささびは木末求むとあしひきの 山のさつ男にあひにけるかも
- 次の歌
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人見ずは我が袖もちて隠さむを 焼けつつかあらむ着ずて来にけり