昨日こそ君はありしか思はぬに
浜松の上に雲にたなびく
- 歌の意味
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つい昨日まであなたは生きていたのに、思いがけなくも、浜の松の上に、火葬の煙が雲となってたなびいている。
- 鑑賞
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巻第三 挽歌 444
詞書は前の歌に続き「天平元年己巳、摂津国の班田の史生丈部竜麻呂の自ら経き死にし時に、判官大伴宿禰三中の作る歌一首并せて短歌」の「反歌」
天平元年(729)、摂津国で班田の事務に従事していた史生の丈部竜麻呂が首をくくって死んだ時、上役の大伴三中が悼んだ長歌の反歌の一首目である。つい昨日まで生きていた人が、今は火葬の煙となって浜の松の上にたなびいていると、突然の死への驚きと悲しみを詠んでいる。
作者の大伴三中は奈良時代の官人で、摂津国の班田司の判官を務め、のちに遣新羅副使などに任じられた。
初句「昨日こそ」 「こそ」は係助詞で、二句の「しか」と係り結びとなる。つい昨日こそ、の意である。
二句「君はありしか」 「しか」は過去の助動詞「き」の已然形で、あなたは生きていたのに、と逆接の含みをもつ。ここで句切れとなる。
三句「思はぬに」 思いがけなくも、の意である。
四句「浜松の上に」 浜辺の松の上に、の意で、八音の字余りである。
結句「雲にたなびく」 火葬の煙が雲となってたなびいている、の意で、死の現実を景として示して結んでいる。
はままつ:浜辺の松
- 作者
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大伴三中
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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世間は空しきものとあらむとぞ この照る月は満ち欠けしける
- 次の歌
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いつしかと待つらむ妹に玉梓の 言だに告げず去にし君かも