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沖つ楫やくやくしぶを見まく欲り
我がする里の隠らく惜しも

歌の意味
沖を漕ぐ舟の櫓はしだいに渋りがちになるが、いつまでも見ていたいと私が思う里が、隠れてゆくのが惜しい。
鑑賞
巻第七 雑歌 1205

詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
 沖へ漕ぎ出す舟の上から、見ていたいと思う里がしだいに隠れてゆくのを惜しむ一首である。櫓の進みが渋りがちなのは、里を離れがたい心の表れとも読める。難解な歌で、解釈に諸説がある。
 古集に出る歌とされる。作者は未詳である。

 初句「沖つ楫」は、沖を漕ぐ舟の櫓をいう。
 二句「やくやくしぶを」の「やくやく」は、しだいに、の意。「しぶ」は進みしぶる意と解される。
 三句「見まく欲り」は、見たいと思って、の意である。
 四句「我がする里の」は、私がそう思う里の、の意である。
 結句「隠らく惜しも」の「隠らく」は「隠る」のク語法で、隠れてゆくことが惜しいことよ、の意。

しぶ:滞る、進みしぶる
さと:人の住む里、故郷
出典
万葉集
前の歌
浜清み磯に我が居れば見む人は 海人とか見らむ釣りもせなくに
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沖つ波辺つ藻巻き持ち寄せ来とも 君にまされる玉寄せめやも