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遠くありて雲居に見ゆる妹が家に
早く至らむ歩め黒駒

歌の意味
遠く離れていて、雲のかなたに見える妻の家に早く着こう。歩め、黒馬よ。
鑑賞
巻第七 雑歌 1271

詞書「行路」
 遠く雲のかなたに見える妻の家に早く着きたいと、乗っている黒馬に歩めと呼びかける一首である。妻の家を目の前にしながらなかなか近づけない、はやる心が率直に表されている。
 詞書「行路」のもとの一首である。左注に「右の一首は柿本朝臣人麻呂の歌集に出づ」とあり、柿本人麻呂歌集所出の歌である。巻第十四の第三千四百四十一首の東歌「ま遠くの雲居に見ゆる妹が家にいつか至らむ歩め我が駒」はこの歌とほぼ同じで、その左注にもこの歌が人麻呂歌集の歌として引かれている。

 初句「遠くありて」は、遠く離れていて、の意で、字余りの句である。
 二句「雲居に見ゆる」は、雲のかなたに見える、の意である。
 三句「妹が家に」は、妻の家に、の意で、字余りの句である。
 四句「早く至らむ」は、早く着こう、の意で、四句切れとなる。
 結句「歩め黒駒」は、歩め、黒馬よ、の意で、命令形で馬に呼びかけている。体言止めの句である。

くもゐ:雲のあるところ、はるか遠くのところ
くろこま:黒毛の馬
出典
万葉集
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