朝去にて夕は来ます君ゆゑに
ゆゆしくも我は嘆きつるかも
- 歌の意味
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朝には帰っていっても、夕べにはまたおいでになるあなたなのに、不吉なほどに私は嘆いてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2893
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
朝に帰っても夕べにはまた来てくれる相手なのに、朝の別れを不吉なほど嘆いてしまった自分を省みる女の歌である。朝と夕の対比のうちに、わずかな別れにも耐えられない心が表れている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「朝去にて」は、朝には帰っていって、の意で、二句の「夕」と対をなす。
二句「夕は来ます」の「ます」は尊敬語で、夕べにはまたおいでになる、の意である。
三句「君ゆゑに」は、あなたであるのに、の意で、逆接に解される。
四句「ゆゆしくも我は」の「ゆゆし」は、忌むべきほど、不吉なほどに、の意である。
結句「嘆きつるかも」は、嘆いてしまったことだ、の意で、朝の別れを激しく嘆いた自分を省みている。
いぬ:去る、行ってしまう
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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思ひ遣るすべのたどきも我れはなし 逢はずてまねく月の経ぬれば
- 次の歌
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聞きしより物を思へば我が胸は 破れて砕けて利心もなし