聞きしより物を思へば我が胸は
破れて砕けて利心もなし
- 歌の意味
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あなたのことを耳にしてから物思いをしているので、私の胸は破れて砕けて、しっかりとした心もなくなってしまった。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2894
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
相手のことを耳にしてから恋の物思いが始まり、胸が破れ砕けて正気も失ったと訴える歌である。噂から始まる恋という当時の恋のあり方がうかがわれ、胸が破れ砕けるという激しい表現が苦しさを強調している。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「聞きしより」は、噂に聞いた時から、の意で、相手のことを耳にして恋が始まったことを示す。
二句「物を思へば」は、物思いをしているので、の意である。
三句「我が胸は」は、私の胸は、の意である。
四句「破れて砕けて」は、胸が破れ砕ける、の意で、同じ形の語を重ねて苦しさを強調する。本巻の第二千八百七十八首の「裂けにし胸は」と通じる激しい表現である。
結句「利心もなし」の「利心」は、しっかりとした心、正気の意である。
とごころ:しっかりとした心、正気
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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朝去にて夕は来ます君ゆゑに ゆゆしくも我は嘆きつるかも
- 次の歌
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人言を繁み言痛み我妹子に 去にし月よりいまだ逢はぬかも