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斑鳩の因可の池のよろしくも
君を言はねば思ひぞ我がする

歌の意味
斑鳩の因可の池の名のように、人々があなたのことをよくは言わないので、私は思い悩んでいる。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3020

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 世間の人々が恋人をよく言わないために心を痛める歌である。因可の池の名の音から「よろしく」を導く序詞を用い、恋人の評判を気にかける心を述べている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「斑鳩の」は、奈良県斑鳩町のあたりをいう。
 二句「因可の池の」は、斑鳩にあった池とされ、「よるか」の音から「よろしく」を導く序詞となる。
 三句「よろしくも」は、好ましく、よく、の意である。
 四句「君を言はねば」は、人々があなたのことをよく言わないので、の意である。
 結句「思ひぞ我がする」は、私は思い悩んでいる、の意で、「ぞ」は連体形「する」で結ぶ。恋人の評判の悪さに心を痛めている。

いふ:言う、ここでは評判を言う
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
洗ひ衣取替川の川淀の 淀まむ心思ひかねつも
次の歌
隠り沼の下ゆは恋ひむいちしろく 人の知るべく嘆きせめやも