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玉の緒を片緒に縒りて緒を弱み
乱るる時に恋ひずあらめやも

歌の意味
玉を貫く緒を一本の糸で縒ったので緒が弱く、玉が乱れ散るように、心乱れる時に恋しく思わずにいられようか。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3081

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 一本の糸で縒った弱い緒から玉が散り乱れるように、心が乱れる時に恋しく思わずにいられようかと歌う。ここから玉の緒を詠む歌が三首続く。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「玉の緒を」は、玉を貫き通す緒を、の意である。
 二句「片緒に縒りて」は、一本の糸で縒って、の意である。
 三句「緒を弱み」は、緒が弱いので、の意で、ここまでが玉が散り乱れることから「乱るる」を導く序詞となる。
 四句「乱るる時に」は、心が乱れる時に、の意である。
 結句「恋ひずあらめやも」は反語で、恋しく思わずにいられようか、の意である。

たまのを:玉を貫き通す緒、命の意にも用いる
かたを:一本の糸
よる:糸を縒る
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
わたつみの沖に生ひたる縄海苔の 名はかつて告らじ恋ひは死ぬとも
次の歌
君に逢はず久しくなりぬ玉の緒の 長き命の惜しけくもなし