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恋ふることまされる今は玉の緒の
絶えて乱れて死ぬべく思ほゆ

歌の意味
恋しさがまさる今は、玉の緒が切れて玉が乱れ散るように、死んでしまいそうに思われる。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3083

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 恋しさがまさる今は、玉の緒が切れて玉が散り乱れるように、死んでしまいそうだと歌う。玉の緒を詠む三首の結びとして、緒が切れることに命の尽きることを重ねている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「恋ふること」は、恋しく思うことが、の意である。
 二句「まされる今は」は、まさっている今は、の意である。
 三句「玉の緒の」は、玉の緒が、の意で、「絶えて乱れて」を導いている。前二首に続いて玉の緒を詠み込み、一連を結んでいる。
 四句「絶えて乱れて」は、切れて乱れて、の意で、緒が切れて玉が散る様子と命の尽きることとを重ねている。
 結句「死ぬべく思ほゆ」は、死んでしまいそうに思われる、の意で、八音の字余りである。

たまのを:玉を貫き通す緒、命の意にも用いる
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
君に逢はず久しくなりぬ玉の緒の 長き命の惜しけくもなし
次の歌
海人娘子潜き採るといふ忘れ貝 世にも忘れじ妹が姿は