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紫の粉潟の海に潜く鳥
玉潜き出ば我が玉にせむ

歌の意味
粉潟の海に潜る鳥が、玉を潜って取って出てきたならば、それを私の玉にしよう。
鑑賞
巻第十六 有由縁并雑歌 3870

詞書はなく、左注に「右の歌一首」とある
 粉潟の海に潜る鳥が玉をくわえて出てきたら、自分の玉にしようと詠む歌である。玉は美しい娘をたとえるとされ、思う人を手に入れたいという願いを、海の鳥の姿に託した民謡風の歌である。
 左注には「右の歌一首」とあるのみで、作者や由来は伝わらない。粉潟の所在は明らかでない。
 作者は伝わらない。

 初句「紫の」は、紫色の濃いことから「こ」の音にかかる枕詞である。
 二句「粉潟の海に」は、粉潟の海に、の意である。粉潟の所在は不明である。
 三句「潜く鳥」は、水に潜る鳥、の意である。初句から三句までが、四句の「玉潜き出ば」を導いている。
 四句「玉潜き出ば」は、玉を潜って取って出てきたならば、の意である。玉は真珠で、美しい娘をたとえるとされる。
 結句「我が玉にせむ」は、私の玉にしよう、の意である。本巻の第三千八百十四首の結句と同じ句で、そこでは再婚を求める男の言葉であったものが、ここでは海の鳥に託した願いとなっている。

かづく:水中にもぐる
むらさきの:紫色の濃いことから「こ」の音にかかる枕詞
出典
万葉集
前の歌
大船に小舟引き添へ潜くとも 志賀の荒雄に潜き逢はめやも
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