降る雪を腰になづみて参ゐて来し
験もあるか年の初めに
- 歌の意味
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降り積もった雪に腰まで埋まって難儀しながら参上した甲斐もあることだ。年の初めに。
- 鑑賞
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巻第十九 4230
詞書はなく、左注に「右の一首は、三日、介内蔵忌寸縄麻呂の館に会集して宴楽する時に、大伴宿祢家持作る」とある
正月三日、介の内蔵縄麻呂の館での宴で、腰まで雪に埋まりながら苦労して参上した甲斐があったと、主人の心づくしのもてなしを讃えた歌である。客として招かれた家持の挨拶の歌で、前日の自邸の宴に続く新年の宴の喜びが表れている。
雪の深さを強調することで、それを押してでも来る価値のある宴であったと主人を持ち上げる、挨拶歌らしい趣向が見られる。
作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。
初句「降る雪を」は、降り積もった雪を示し、前日の四尺の雪を思わせている。
二句「腰になづみて」の「なづむ」は行き悩む、難儀する意で、腰まで雪に埋まって進むのに苦労したさまを表している。
三句「参ゐて来し」は、参上して来たの意で、主人への敬意を示している。
四句「験もあるか」の「験」は甲斐、効験の意で、「か」は詠嘆を表し、苦労した甲斐があったと喜び、ここで切れる四句切れとなっている。
結句「年の初めに」は、倒置によって時を最後に示し、新年の宴であることを強調して結んでいる。
なづむ:行き悩む、難儀する
まゐく:参上する
しるし:甲斐、効験
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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新しき年の初めはいや年に 雪踏み平し常かくにもが
- 次の歌
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なでしこは秋咲くものを君が家の 雪の巌に咲けりけるかも