うつつにと思ひてしかも夢のみに
手本巻き寝と見ればすべなし
- 歌の意味
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現実のことであってほしいと思いたい。夢の中でだけ、妻の腕を枕にして寝たと見ると、どうしようもなくつらい。
- 鑑賞
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巻第十九 4237
詞書は前の歌に続き「死にし妻を悲傷する歌一首并せて短歌[作主いまだ詳らかならず]」反歌一首
亡き妻を悲しむ長歌の反歌で、夢の中でだけ妻の腕を枕に共寝したと見ると、それが現実であったらと願わずにはいられず、どうしようもなくつらいと詠んでいる。長歌で、神に祈ったにもかかわらず妻は雲となってたなびいてしまったと嘆いたのを受け、夢でしか逢えない悲しみを表している。
左注に「右の二首は、伝誦するは遊行女婦蒲生これなり」とあり、正月三日の宴の席で遊行女婦の蒲生が古歌として伝え誦んだものである。作者は詞書に「いまだ詳らかならず」とあり、明らかでない。
初句「うつつにと」の「うつつ」は現実の意で、夢との対比を冒頭に示している。
二句「思ひてしかも」の「てしかも」は願望を表し、現実のことと思いたいという切なる願いを表して、ここで切れる二句切れとなっている。
三句「夢のみに」の「夢」は夢の古い形で、「のみ」によって夢の中でだけという限定を示している。
四句「手本巻き寝と」の「手本」は袖や腕のことで、妻の腕を枕にして共寝したことを示している。
結句「見ればすべなし」の「すべなし」はどうしようもない意で、夢から覚めたあとのやるせない悲しみを表して結んでいる。
うつつ:現実
いめ:夢
たもと:袖、腕
- 出典
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万葉集
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天雲をほろに踏みあだし鳴る神も 今日にまさりて畏けめやも
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君が行きもし久にあらば梅柳 誰れとともにか我がかづらかむ