二上の峰の上の茂に隠りにし
その霍公鳥待てど来鳴かず
- 歌の意味
-
二上山の峰の上の茂みに隠れてしまった、そのほととぎすは、待っているのに来て鳴かない。
- 鑑賞
-
巻第十九 4239
詞書「霍公鳥を詠む歌一首」
二上山の峰の茂みに隠れてしまったほととぎすが、待っていても来て鳴かないと詠んだ歌である。声は聞こえるはずの近くの山にいながら、なかなか姿を現さない鳥への待ちわびる思いを表している。
二上山は越中国府の背後にそびえる山で、家持がしばしば歌に詠んだ。左注に「右は、四月十六日に大伴宿祢家持作る」とあり、天平勝宝三年四月の作である。二句は字余りである。
作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。
初句「二上の」は、国府の背後の二上山を示している。
二句「峰の上の茂に」は字余りで、「茂」は草木の茂みの意、峰の上の深い茂みを示している。
三句「隠りにし」の「にし」は完了と過去で、茂みに隠れてしまったことを示している。
四句「その霍公鳥」の「その」は、隠れてしまったあのほととぎすと指示している。
結句「待てど来鳴かず」は、待っても来て鳴かないの意で、待ちわびる心を率直に表して結んでいる。
しげ:草木の茂み
- 作者
-
大伴家持
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
君が行きもし久にあらば梅柳 誰れとともにか我がかづらかむ
- 次の歌
-
大船に真楫しじ貫きこの我子を 唐国へ遣る斎へ神たち