幣にならましものをすべ神の
御手に取られてなづさはましを
- 歌の意味
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いっそ幣になれたらよいのに。そうすれば神の御手に取られて、おそばに親しく寄り添えるだろうに。
- 鑑賞
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巻第十 神楽歌 578
いっそ幣になれたらよい、そうすれば神の御手に取られて親しく寄り添えるのにと詠む歌である。神に捧げられる幣をうらやみ、自らも神のそばにありたいと願う、神への思慕を素朴に表している。次歌の第五百七十九首とともに幣を歌う。
本巻は神楽歌の巻で、巻頭から第五百八十六首までは、作者も詞書も記されない、宮中の御神楽で歌われた歌が並ぶ。採物のうち幣を歌うものに通じる歌である。
なお本文の三句は「すへ神の」とあり、読み仮名の行の「すめかみの」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「幣に」は、幣に、の意で、神に捧げる供え物をいう。次歌の第五百七十九首は初句「幣は」と結句「宮の幣」に同じ語を置いている。
二句「ならましものを」は、なれたらよいのに、の意で、「まし」は反実仮想の助動詞、「ものを」は詠嘆を表す。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「すべ神の」は、神の、の意で、すべての神、神々を統べる神を敬っていう語と解される。
四句「御手に取られて」は、神の御手に取られて、の意で、幣が神に捧げられることをいう。
結句「なづさはましを」は、親しく寄り添えるだろうに、の意で、二句と同じく反実仮想の「まし」と詠嘆の「を」を重ね、願いを繰り返している。
みてぐら:幣。神に捧げる供え物
すべがみ:神を敬っていう語。本文の表記による
なづさふ:なれ親しむ、寄り添う
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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榊葉の香をかぐはしみ求め来れば 八十氏人ぞ円居せりける
- 次の歌
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幣は我がにはあらず天にます 豊岡姫の宮の幣