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榊葉の香をかぐはしみ求め来れば
八十氏人ぞ円居せりける

歌の意味
榊葉の香りがかぐわしいので、その香りをたずねて来てみると、多くの氏々の人々が輪になって集まっていたことだ。
鑑賞
巻第十 神楽歌 577

 榊葉の香りのかぐわしさにひかれてたずねて来ると、多くの氏の人々が輪になって集まっていたと詠む歌である。神楽の場に人々が集い、和やかに祭りを楽しむさまを、榊の香りに導かれる形で描いている。前歌の第五百七十六首が祭りの起こりを問うたのに対し、この歌は今まさに祭りに集う人々を詠んでいる。
 本巻は神楽歌の巻で、巻頭から第五百八十六首までは、作者も詞書も記されない、宮中の御神楽で歌われた歌が並ぶ。前歌とともに、採物のうち榊を歌うものに通じる歌である。

 初句「榊葉の」は、榊の葉の、の意で、前歌の第五百七十六首の初句「榊葉に」と同じ語を受けている。
 二句「香をかぐはしみ」は、香りがかぐわしいので、の意で、「み」は原因や理由を表す接尾語である。
 三句「求め来れば」は、たずねて来ると、の意で、「ば」は已然形について、〜したところ、の意を表す。
 四句「八十氏人ぞ」は、多くの氏々の人々が、の意で、係助詞「ぞ」は結句の「ける」で結ぶ係り結びである。
 結句「円居せりける」は、輪になって集まっていたことだ、の意で、「り」は存続の助動詞、「ける」は過去の助動詞「けり」の連体形である。

とむ:求む。たずね求める
やそうぢびと:八十氏人。多くの氏々の人々
まとゐ:円居。輪になって集まること
出典
拾遺和歌集
前の歌
榊葉に木綿四手かけて誰が世にか 神の御前に斎ひそめけん
次の歌
幣にならましものをすべ神の 御手に取られてなづさはましを