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逢坂を今朝越え来れば山人の
千歳つけとて切れる杖なり

歌の意味
逢坂の関を今朝越えて来たところ、山人が千年の齢をつけよと言って切ってくれた杖なのだ、これは。
鑑賞
巻第十 神楽歌 580

 今朝逢坂を越えて来ると、山人が千年の齢をつけよと言って切ってくれた杖なのだと、手にした杖のいわれを詠む歌である。山の神に仕える山人から授かった杖を、長寿をもたらすめでたいものとして示し、祭りの場を祝っている。
 本巻は神楽歌の巻で、巻頭から第五百八十六首までは、作者も詞書も記されない、宮中の御神楽で歌われた歌が並ぶ。採物のうち杖を歌うものに通じる歌である。天禄元年の大嘗会の第六百十五首も、吉田の里の杖を詠んで君の長寿を祝っており、杖に千代を託す趣向を共有している。

 初句「逢坂を」は、逢坂の関を、の意で、山城と近江の境の地名である。
 二句「今朝越え来れば」は、今朝越えて来たところ、の意で、「ば」は已然形について、〜したところ、の意を表す。
 三句「山人の」は、山に住む人が、の意で、山の神に仕える者を思わせる。
 四句「千歳つけとて」は、千年の齢をつけよと言って、の意で、杖に長寿を託している。第五百九十一首の四句「松の千歳の」、第六百七首の初句「千歳経る」など、本巻には「千歳」の語が繰り返し現れる。
 結句「切れる杖なり」は、切った杖である、の意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形、「なり」は断定の助動詞である。

やまびと:山人。山に住む人。山の神に仕える者
つゑ:杖
出典
拾遺和歌集
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幣は我がにはあらず天にます 豊岡姫の宮の幣
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