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天の川名に流れたる甲斐ありて
今宵の月はことに澄みけり

歌の意味
天の川が川として名高く流れているその甲斐があって、今宵の月はとりわけ澄みわたっていることだ。
鑑賞
秋歌 331

詞書は前の歌に続き「八月十五夜」
 十五夜を詠む一連の三首目である。天の川がその名のとおり空に流れている甲斐があって、空が清らかに洗われたように、今宵の月はとりわけ澄みわたっている、と詠む。月の澄む空を、天の川の流れが清めているかのように捉えている。
 「名に流れ」に、名が世に広く知られる意と、川の「流れ」とを重ね、「流れ」「澄み」を天の川の縁語として用いている。本巻の第二百六十首では七夕の天の川が詠まれていたが、ここでは十五夜の澄んだ空の天の川として詠まれている。

 初句「天の川」は、空に川のように見える星の帯をいう。
 二句「名に流れたる」は、名が世に広まっている、の意で、「流れ」は初句の「川」の縁語となっている。
 三句「甲斐ありて」は、その効果があって、の意である。
 四句「今宵の月は」は、十五夜の今宵の月は、の意である。
 結句「ことに澄みけり」の「ことに」は、とりわけ、の意で、「澄む」は川の縁語でもある。「けり」は気づきの詠嘆である。

なにながる:名が世に広く知られる
かひ:効果、しるし
作者
西行
出典
山家集
前の歌
数へねど今宵の月のけしきにて 秋の半ばを空に知るかな
次の歌
さやかなる影にてしるし秋の月 とよにあまれる五日なりけり