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月出づる峰の木の葉も散り果てて
麓の里はうれしかるらん

歌の意味
月が出る峰の木の葉もすっかり散ってしまって、麓の里ではうれしく思っていることだろう。
鑑賞
冬歌 518

詞書は前の歌に続き「山家冬月」
 「山家冬月」の題で詠まれた二首目である。月がのぼってくる峰の木々の葉もすっかり散ってしまい、月をさえぎるものがなくなったので、麓の里の人々は月がよく見えてうれしく思っていることだろう、と推し量る歌である。
 本巻の第四百九十五首では、木の葉が散って月の光に心があらわになることを、隠れ住もうとする者の側から嘆いたのに対し、この歌は木の葉が散って月がよく見えることを、麓の里の側から喜ぶものとして詠んでおり、同じ落葉と月とを反対の心で捉えている。

 初句「月出づる」は、月がのぼってくる、の意である。
 二句「峰の木の葉も」の「も」は、ほかのものに加えて峰の木の葉までも、の意である。
 三句「散り果てて」の「散り果つ」は、すっかり散ってしまう、の意である。
 四句「麓の里は」は、山の麓にある里は、の意で、峰と対になっている。
 結句「うれしかるらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、うれしく思っていることだろう、と麓の里の人の心を推し量って結ぶ。

ちりはつ:すっかり散ってしまう
ふもと:山のすその部分
作者
西行
出典
山家集
前の歌
冬枯れのすさまじげなる山里に 月のすむこそあはれなりけれ
次の歌
花に置く露に宿りし影よりも 枯れ野の月はあはれなりけり