花に置く露に宿りし影よりも
枯れ野の月はあはれなりけり
- 歌の意味
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秋の花に置いた露に宿っていた月の光よりも、枯れ野を照らす月のほうが、しみじみと心にしみることだ。
- 鑑賞
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冬歌 519
詞書「月照寒草」
題「月照寒草」は、冬の枯れ草を照らす月を詠む題である。秋に咲く花に置いた露に宿って映っていた月の光よりも、冬の枯れ野を照らす月のほうが、しみじみと心にしみる、と詠む。華やかな秋の月よりも、寂しい冬の枯れ野の月にこそ深い情趣を見いだしている。
次歌も同じ題で詠まれた二首目である。また本巻の第五百十七首が、殺風景な冬の山里に澄む月をあわれと詠んだのと同じく、冬の寂しい景色の中の月に心を寄せている。
初句「花に置く」は、秋の花に置く、の意で、露が花の上に置くことをいう。
二句「露に宿りし」の「宿る」は、光や姿が映ってとどまる、の意で、露に月の光が映っていたことをいう。「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
三句「影よりも」の「影」は月の光のことで、「よりも」が比較を示している。
四句「枯れ野の月は」の「枯れ野」は、草木の枯れた冬の野で、題の「寒草」に当たる。
結句「あはれなりけり」の「あはれなり」は、しみじみと心を動かされるさまで、「けり」は詠嘆である。
やどる:光や姿が映ってとどまる
かれの:草木の枯れた冬の野
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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月出づる峰の木の葉も散り果てて 麓の里はうれしかるらん
- 次の歌
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氷敷く沼の葦原風冴えて 月も光ぞ寂しかりける