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憂き身とて忍ばば恋の忍ばれて
人の名立てになりもこそすれ

歌の意味
つまらない身だからと恋を忍んでいると、かえって忍んでいる様子が人目につき、相手の浮名を立てることにもなりかねない。
鑑賞
雑歌 1250

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 つまらない我が身だからと恋を忍んでいると、かえって忍ぶ様子が目立って、相手に浮名を立てることにもなりかねない、と詠む。
 自分のためではなく、相手の名を守るために忍ばなければならないのに、忍べば忍ぶほど不自然になって相手を傷つけかねない、というジレンマを詠んでいる。「忍ば」「忍ばれ」の繰り返しがその堂々めぐりを表している。

 初句「憂き身とて」は、つまらないつらい身だからといって、の意である。
 二句「忍ばば恋の」は、恋を忍ぶならば、の意である。
 三句「忍ばれて」は、忍んでいる様子が自然と表れて、の意で、二句の「忍ば」を重ねている。
 四句「人の名立てに」は、相手の浮名を立てることに、の意である。
 結句「なりもこそすれ」の「もこそ」は危惧を表し、なりかねない、と結ぶ。

なだて:浮名を立てること
もこそ:〜すると困る、という危惧を表す
作者
西行
出典
山家集
前の歌
逢ふ事のなくてやみぬるものならば 今見よ世にもありやはつると
次の歌
みさをなる涙なりせば唐衣 かけても人に知られましやは