君待つと山の端出でて山の端に
入るまで月を眺めつるかな
- 歌の意味
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あなたを待つとて、月が山の端から出てまた山の端に入るまで、ずっと月を眺めてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 298
訪れを待つあいだ、月が山の端から昇って沈むまで、一晩じゅう月を眺め続けてしまったと詠む一首である。「山の端」を重ねることで月の出から入りまでの長い時間を表し、待ちわびる夜の長さを月の運行に託している。
次歌の第二百九十九首は、待てば出るのに入るのは心にまかせない月を詠み、月の出と入りをめぐる二首が並べられている。
初句「君待つと」は、格助詞「と」で、あなたを待つとてという意を表す。
二句「山の端出でて」は、月が山の端から昇ることをいう。
三句「山の端に」は、二句と同じ「山の端」を重ね、月の出から入りまでの時間の長さを表す。
四句「入るまで月を」は、月が山の端に沈むまでをいい、次歌の四句「入るを」と対応する。
結句「眺めつるかな」は、完了の「つ」の連体形と詠嘆の「かな」で、眺め続けてしまったことだと結ぶ。
やまのは:山の稜線。空と接する山の端
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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行く人も天の門渡る心地して 雲の波路に月を見るかな
- 次の歌
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いかなれば待つには出づる月なれど 入るを心にまかせざるらむ