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試みにほかの月をも見てしかな
我が宿からのあはれなるかと

歌の意味
試しによその月も見てみたいものだ。わたしの住まいの趣のせいで月がしみじみと見えるのかどうかと。
鑑賞
巻第九 雑歌上 300

 自分の住まいから見る月があまりにしみじみと感じられるので、それが住まいの趣のためなのかを確かめるため、よその月も見てみたいと詠む一首である。月の美しさを住まいの風情と結びつけ、その理由を確かめたいという、遊び心のある歌である。

 初句「試みに」は、試しにという意を表す。
 二句「ほかの月をも」は、係助詞「も」で、よその場所で見る月をもという意を表す。
 三句「見てしかな」は、願望の終助詞「てしかな」で、見てみたいものだという三句切れである。本巻の第二百七十七首も「見てしかな」で三句を切っている。
 四句「我が宿からの」は、「宿から」の「から」が、そのものの性質や趣による意で、わが住まいの趣のせいでという意を表す。
 結句「あはれなるかと」は、係助詞「か」と格助詞「と」で、しみじみと見えるのかと、倒置によって確かめたい内容を示して結ぶ。

やどから:住まいの趣、住まいの性質
あはれ:しみじみとした趣
作者
花山院
出典
詞花和歌集
前の歌
いかなれば待つには出づる月なれど 入るを心にまかせざるらむ
次の歌
恨めしく帰りけるかな月夜には 来ぬ人をだに待つとこそ聞け