恨めしく帰りけるかな月夜には
来ぬ人をだに待つとこそ聞け
- 歌の意味
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恨めしいことに帰ってしまったことだ。月の美しい夜には、来ない人でさえ待つものだと聞いているのに。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 301
月の美しい夜に訪ねてきた人が、早々に帰ってしまったことを恨む一首である。月夜には来ない人をさえ待つものだと聞くのに、来た人が帰ってしまうとはと、対比によって名残惜しさを表している。
本巻の第二百九十八首は月の出から入りまで人を待つ歌であり、待つ側の歌と、来た人が帰ってしまう歌とが響き合っている。
初句「恨めしく」は、恨めしいことにという意で、帰った人への不満を表す。
二句「帰りけるかな」は、詠嘆の「けり」の連体形と「かな」で、帰ってしまったことだという二句切れである。
三句「月夜には」は、係助詞「は」で月の美しい夜を取り立てる。
四句「来ぬ人をだに」は、副助詞「だに」で、来ない人でさえという意を表し、来たのに帰る人と対比させる。
結句「待つとこそ聞け」は、係助詞「こそ」と已然形「聞け」による係り結びで、待つものだと聞いているのにと結ぶ。
つくよ:月の明るい夜
- 作者
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具平親王
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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試みにほかの月をも見てしかな 我が宿からのあはれなるかと
- 次の歌
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香具山の白雲かかる峰にても 同じ高さぞ月は見えける