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降る雨の足とも落つる涙かな
こまかにものを思ひ砕けば

歌の意味
降る雨の脚のように落ちる涙であることだ。こまごまと物事を思い乱れるので。
鑑賞
巻第九 雑歌上 323

 細かく降りしきる雨脚のように、涙がとめどなくこぼれると詠む一首である。こまごまと思い乱れる心を、細かく降る雨にたとえ、心の乱れと涙の多さとを重ねている。

 初句「降る雨の」は、降りしきる雨をいう。
 二句「足とも落つる」は、雨脚のようにという意で、涙の落ちるさまをたとえる。
 三句「涙かな」は、詠嘆の「かな」で切れる三句切れである。
 四句「こまかにものを」は、こまごまとという意で、雨の細かさと心の細やかな乱れとを重ねる。
 結句「思ひ砕けば」は、已然形に「ば」が付いた確定条件で、思い乱れるのでと、理由を倒置して結ぶ。

あし:雨脚。降る雨の筋
おもひくだく:あれこれと思い乱れる
作者
藤原道綱母
出典
詞花和歌集
前の歌
住吉の細江に差せるみをつくし 深きに負けぬ人はあらじな
次の歌
神無月有明の空のしぐるるを また我ならぬ人や見るらむ