今朝見れば山も霞みて久方の
天の原より春は来にけり
- 歌の意味
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今朝見ると山も霞んでいる。大空の彼方から、春はやって来たのだなあ。
- 鑑賞
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春歌 1
詞書「正月一日よめる」
正月元日の朝、山に立つ霞を見て、春が天から訪れたと感じ取った歌である。目の前の山の霞という確かな景から、大空いっぱいに広がる春の到来へと視線を広げ、新年を迎えた清々しい喜びをおおらかに詠む。源実朝の家集『金槐和歌集』春部の巻頭を飾る一首で、賀茂真淵は合点(○)を付して評価している。
霞を見て春の到来を知る趣向は、『万葉集』の「ひさかたの天の香具山この夕べ霞たなびく春立つらしも」などに先例があり、本歌はその万葉ぶりの大らかな調べを受け継ぐものである。
初句「今朝見れば」は、元日の朝という時を示し、見たままを述べる率直な詠み出しである。巻末の第百三十二首が屏風に描かれた春を夏に「見て」驚く歌であるのと、見ることによって春を知る点で巻頭と巻末が呼応する。
二句「山も霞みて」の「も」は、山までもが霞んでいるという意を添え、春の気配が身近な景にまで及んでいることを示す。
三句「久方の」は「天」にかかる枕詞である。
四句「天の原より」の「天の原」は広々とした大空のことで、「より」は起点を示す格助詞である。春が天から降りてくるように捉えている。
結句「春は来にけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、春の到来を今はっきりと悟った感動を表す。同じ結句は本巻の第七首にも見え、立春の歌を結ぶ定型として用いられている。
あまのはら:広々とした大空、天空
かすむ:霞がかかって景色がぼんやりと見える
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 次の歌
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九重の雲居に春ぞ立ちぬらし 大内山に霞たなびく