- 歌の意味
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桜の花は、咲いたと見る間に散ってしまった。夢なのか現実なのか。春の山風よ。
- 鑑賞
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春歌 72
詞書は前の歌に続き「三月すゑつかた勝長寿院にまうでたりしにある僧山かげに隠れをるを見て花はと問ひしかば散りぬとなむ答へ侍りしを聞きて」
前歌と同じ折の作で、咲いたと思う間もなく散ってしまった桜のはかなさを、夢か現実かと嘆く歌である。花の命の短さに、この世のはかなさへの思いを重ねている。賀茂真淵は四句が作者には似つかわしくないと評している。
夢か現実か分からないというはかなさの表現は、『古今和歌集』の「世の中は夢かうつつかうつつとも夢とも知らずありてなければ」などに見えるものである。
初句「桜花」は、前歌の第七十一首で散ったと聞いた花を示す。
二句「咲くと見しまに」は、咲いたと見たその間にの意で、時の短さを表す。
三句「散りにけり」は前歌と同じ句で、ここで句切れとなる。
四句「夢か現か」は、夢なのか現実なのかと問う句で、真淵が似つかわしくないと評した句である。
結句「春の山風」は体言止めで、花を散らした山風を最後に置き、本巻の第四十首と同じ結句となっている。
うつつ:現実
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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行きて見むと思ひしほどに散りにけり あやなの花や風立たぬまに
- 次の歌
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春来れど人もすさめぬ山桜 風のたよりに我のみぞ訪ふ