雁鳴きて秋風寒くなりにけり
ひとりや寝なむ夜の衣薄し
- 歌の意味
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雁が鳴いて、秋風が寒くなってきた。ひとりで寝ることになるのだろうか。夜の衣は薄いのに。
- 鑑賞
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秋歌 231
詞書「雁をよめる」
雁が鳴き、秋風が寒くなってきた夜に、ひとりで寝なければならないのだろうか、夜着は薄いのにと詠んだ歌である。秋の夜の肌寒さと独り寝の寂しさとを率直に重ね、万葉風の素朴な調べで詠んでいる。
賀茂真淵はこの歌に二つの合点を付している。なお参照した底本の本文では四句に欠字があり、定家所伝本の「ひとりやねなむ」によって補った。
初句「雁鳴きて」は、雁が鳴いての意である。本巻の第二百九十九首、第三百一首、第三百二首も同じ初句で始まり、秋の深まりを告げる句として繰り返される。
二句「秋風寒く」は、秋風が寒くの意である。
三句「なりにけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、ここで句切れとなる。
四句「ひとりや寝なむ」の「や」は疑問の係助詞で、完了の「ぬ」の未然形と推量の「む」の連体形「なむ」で結び、ひとりで寝ることになるのだろうかと嘆き、ここで再び句切れとなる。本巻の第二百六十七首にも同じ四句が見え、秋風の寒さと独り寝を詠む点で呼応している。
結句「夜の衣薄し」は字余りで、夜着が薄いと言い切る。
よるのころも:夜に着る衣、寝間着
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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ぬばたまの夜は更けぬらし雁がねの 聞こゆる空に月傾きぬ
- 次の歌
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秋風に山飛び越ゆる初雁の 翼に分くる峰の白雲