あしひきの山飛び越ゆる秋の雁
幾重の霧をしのぎ来ぬらむ
- 歌の意味
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山を飛び越えてくる秋の雁は、ここに来るまでに幾重もの霧をしのいで来たのだろう。
- 鑑賞
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秋歌 233
詞書は前の歌に続き「雁をよめる」
山を飛び越えてやって来る秋の雁は、ここまでの長い旅路で、いったい幾重の霧をしのいで来たのだろうかと思いやった歌である。遠い北の国からの雁の旅の苦労に、いたわりの心を寄せている。
なお参照した底本の本文では結句に欠字があり、定家所伝本の「しのききぬらむ」によって補った。
初句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
二句「山飛び越ゆる」は前歌の第二百三十二首と同じ二句で、二首が並んで山を越える雁を詠む。
三句「秋の雁」は、秋に渡ってくる雁をいう。
四句「幾重の霧を」は、幾重にも立ちこめる霧をの意である。前歌では峰の白雲を分けた雁が、本歌では幾重の霧をしのいでおり、雲と霧とで二首が対をなしている。
結句「しのぎ来ぬらむ」は、しのいで来たのだろうの意で、「ぬ」は完了、「らむ」は現在推量を表す。
あしひきの:「山」にかかる枕詞
しのぐ:困難を押し切って進む、耐えしのぐ
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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秋風に山飛び越ゆる初雁の 翼に分くる峰の白雲
- 次の歌
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雁がねは友まどはせり信楽や 真木の杣山霧立たるらし