わが恋は百島めぐり浜千鳥
行方も知らぬ方に鳴くなり
- 歌の意味
-
私の恋は、多くの島をめぐる浜千鳥のように、行く先もわからない方角で鳴いているようだ。
- 鑑賞
-
恋歌 428
詞書は前の歌に続き「恋の歌の中に」
数多くの島々を飛びめぐる浜千鳥が、行く先も知れない方へ鳴いて去るように、自分の恋も行方が定まらず泣いてばかりだと詠んだ歌である。千鳥の鳴き声に、恋に泣く声を重ねている。
底本は二句の「めぐり」に「めぐる」と傍記する。底本の注記によれば、類従本と定家所伝本では二句に異同がある。ここでは底本の本文に従う。賀茂真淵はこの歌に合点を付している。
初句「わが恋は」は、私の恋はの意で、第四百十首と同じ歌い出しである。
二句「百島めぐり」は、多くの島々をめぐっての意である。
三句「浜千鳥」は、浜辺にいる千鳥の意で、群れて鳴きながら飛ぶ鳥として恋の嘆きを象徴する。
四句「ゆくへも知らぬ」は、行き先もわからないの意で、恋の行方の定まらなさを重ねている。
結句「かたに鳴くなり」の「なり」は推定で、鳴いているようだの意となる。千鳥が鳴くことと自分が泣くこととを重ねている。前々歌から続いた月の歌から、浜の鳥へと景物が移っている。
ももしま:多くの島
はまちどり:浜辺の千鳥
- 作者
-
源実朝
- 出典
-
金槐和歌集
- 前の歌
-
月影のそれかあらぬかかげろふの ほのかに見えて雲隠れにき
- 次の歌
-
夜を寒み鴨の羽交ひに置く霜の たとひ消ぬとも色に出でめや