夜を寒み鴨の羽交ひに置く霜の
たとひ消ぬとも色に出でめや
- 歌の意味
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夜が寒いので鴨の羽の交わる所に置く霜のように、たとえ消えてしまおうとも、思いを顔色に出したりしようか、いや出しはしない。
- 鑑賞
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恋歌 429
詞書は前の歌に続き「恋の歌の中に」
寒い夜に鴨の羽の重なりに置く霜のように、たとえ身が消えてしまっても、恋心を表に出すことはしないと、忍ぶ恋の固い決意を詠んだ歌である。
底本の注記によれば、定家所伝本では結句に異同がある。ここでは底本の本文に従う。
初句「夜をさむみ」は、夜が寒いのでの意で、「を〜み」は原因や理由を表す。
二句「鴨の羽がひに」は、鴨の左右の翼が重なる背の部分にの意である。前歌の浜千鳥に続いて水辺の鳥が詠まれている。
三句「おく霜の」は、置く霜のようにの意で、ここまでが「消ぬ」を導く。第四百十六首の三句と同じ句である。
四句「たとひ消ぬとも」は、たとえ消えてしまってもの意で、命が尽きることを重ねている。
結句「色にいでめや」の「や」は反語で、表に出そうか、いや出さないの意である。
はがひ:鳥の左右の翼が重なる所
いろにいづ:思いが顔色や態度に表れる
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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わが恋は百島めぐり浜千鳥 行方も知らぬ方に鳴くなり
- 次の歌
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枯れ果てむ後偲べとや夏草の 深くは人の頼めおきけむ