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枯れ果てむ後偲べとや夏草の
深くは人の頼めおきけむ

歌の意味
枯れ果ててしまった後で思い出せというのだろうか。夏草が深く茂るように、あの人は深く私を頼みに思わせておいたのだろう。
鑑賞
恋歌 430

詞書は前の歌に続き「恋の歌の中に」
 夏草が深く茂るように深く頼みに思わせておきながら、恋が枯れ果てた後で思い出せとでもいうのかと、相手のつれなさを恨んだ歌である。夏草の茂りと枯れとに、恋の盛りと終わりを重ねている。
 この歌は『新拾遺和歌集』に入集している。類従本では「一本及印本所載歌」の部に収める。

 初句「枯れはてむ」は、すっかり枯れてしまうだろうの意で、夏草が枯れることと恋が絶えることとを重ねる。
 二句「後しのべとや」は、その後で思い出せというのかの意で、「や」は疑問の係助詞で結句の「けむ」と連体形で結ぶ。
 三句「夏草の」は、夏の草のの意で、茂りの深さから「ふかく」を導く。
 四句「ふかくは人の」は、深くあの人がの意で、夏草の深さと頼みに思わせた深さとを重ねる。
 結句「たのめおきけむ」は、頼みに思わせておいたのだろうの意で、「けむ」は過去推量である。

しのぶ:思い慕う、思い出す
たのむ:下二段で、頼みに思わせる
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
夜を寒み鴨の羽交ひに置く霜の たとひ消ぬとも色に出でめや
次の歌
天の原風に浮きたる浮雲の 行方定めぬ恋もするかな