古典和歌stream

天の原風に浮きたる浮雲の
行方定めぬ恋もするかな

歌の意味
大空で風に漂っている浮雲のように、行く先の定まらない恋をすることだなあ。
鑑賞
恋歌 431

詞書は前の歌に続き「恋の歌の中に」
 大空を風に吹かれて漂う浮雲のように、行き着く先の定まらない恋をしていると詠んだ歌である。前歌までの地上の景から一転して大空を見上げ、寄る辺のない恋心を雲に託している。

 初句「天の原」は、広々とした大空の意である。
 二句「風にうきたる」は、風に浮かび漂っているの意である。
 三句「浮雲の」は、空に浮かぶ雲のようにの意で、ここまでが「行方さだめぬ」を導く序詞である。二句の「うき」と「浮雲」とで語を重ねている。
 四句「行方さだめぬ」は、行き先の定まらないの意である。第四百二十八首の「ゆくへも知らぬ」と同じく、恋の行方の不確かさを表す。
 結句「恋もするかな」の「かな」は詠嘆の終助詞である。次歌以降も天を渡る雲や鳥の歌が続く。

あまのはら:広い大空
うきぐも:空に浮かび漂う雲
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
枯れ果てむ後偲べとや夏草の 深くは人の頼めおきけむ
次の歌
久方の天飛ぶ雲の風をいたみ 我はしか思ふ妹にし逢はねば