うちなびき春は来にけり山川の
岩間の氷今日や解くらむ
- 歌の意味
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春がやって来たのだなあ。山の中を流れる川の、岩の間に張っていた氷も、今日は解けているだろうか。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 1
立春の日に、山中の川の岩間に張りつめていた氷が解けはじめているだろうと想像した歌である。春の到来を、目の前にない遠い山川の氷解けに託して推量しており、おおらかで明るい調べを持つ。
立春の風が氷を解かすという発想は、古今和歌集の紀貫之の歌「袖ひちて」以来の伝統的な型である。本歌はその型を受けつつ、山川の岩間という具体的な場所に焦点を絞っている。
本歌は金葉和歌集の巻頭歌であり、巻末の第九十三首が春との別れを詠むのに対して、春の始まりを告げる位置に置かれている。
作者の「顕季」は、藤原隆経の子で修理大夫に至った藤原顕季である。母が白河天皇の乳母であったことから院の近臣として重んじられた。和歌の家である六条藤家の祖である。
初句「うちなびき」は「春」にかかる枕詞である。草木がなびく春のさまから春の枕詞となったもので、万葉集に多く見られる古風な語を巻頭に据えている。
二句「春は来にけり」の「来にけり」は完了の助動詞「ぬ」に詠嘆の「けり」が付いた形で、春が来たことに今気づいた感動を表す。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「山川の」は山の中を流れる川のことである。
四句「岩間の氷」は岩と岩との間に張った氷で、冬の名残の象徴として置かれている。
結句「今日や解くらむ」の「らむ」は現在推量の助動詞で、目の前にない山川の氷が、今ごろ解けているだろうと思いやる。係助詞「や」と結んで疑問を含んだ推量となっている。
うちなびく:草木などがなびく意。ここでは「春」にかかる枕詞
やまかは:山の中を流れる川
- 作者
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藤原顕季
- 出典
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金葉和歌集
- 次の歌
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春立ちてこずゑに消えぬ白雪は まだきに咲ける花かとぞ見る