梓弓はるのけしきになりにけり
いるさの山に霞たなびく
- 歌の意味
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すっかり春の景色になったことだ。入佐の山に霞がたなびいている。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 11
入佐の山に霞がたなびくのを見て、すっかり春の景色になったと詠む歌である。上の句で感動を述べ、下の句で具体的な景を示す構成で、弓にちなむ縁語を巧みに織り込んでいる。
作者の「仲正」は、源頼綱の子で源頼政の父にあたる源仲正である。武士でありながら歌人として知られた。
初句「梓弓」は弓を張る意から「はる」にかかる枕詞である。
二句「はるのけしきに」の「はる」は、梓弓の縁で弓を「張る」意と季節の「春」とを掛けた掛詞である。前歌の第十首の「けしき」を受け、同じく春の景色を詠んでいる。
三句「なりにけり」は完了と詠嘆で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「いるさの山に」は但馬国の歌枕で、弓を「射る」意を響かせて縁語となる。梓弓、張る、射るという弓の縁語で一首をまとめている。
結句「霞たなびく」は霞が横に長く引くさまで、動詞の終止形によって景を描き切っている。
はる:弓を張る意と、季節の春を掛ける
いるさのやま:但馬国の歌枕。弓を射る意を響かせる
- 作者
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源仲正
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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年ごとにかはらぬものは春霞 たつたの山のけしきなりけり
- 次の歌
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鶯の鳴くにつけてやまかねふく 吉備の山人春を知るらむ