神垣は木の丸殿にあらねども
名のりをせねば人とがめけり
- 歌の意味
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神社の垣の内は木の丸殿ではないけれども、名のりをしなかったので、人にとがめられたことだ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 547
神社の垣の内は、名のりをして通るべき木の丸殿ではないのに、名のりをしなかったので人にとがめられてしまった、と詠む歌である。神社に参詣した折、名を名のらなかったために社の者にとがめられた出来事を、天智天皇の故事にちなんで興じて詠んだものとみられる。
天智天皇の作と伝える「朝倉や木の丸殿に我が居れば名のりをしつつ行くは誰が子ぞ」を踏まえている。木の丸殿は、天智天皇が筑前の朝倉に設けた丸木造りの仮の御殿で、その前を通る者は名を名のって行ったとされる。初句「神垣」は本巻の巻頭の第五百十六首、次歌の第五百四十八首と同じ語である。
初句「神垣は」は、神社の垣の内はの意である。巻頭の第五百十六首、次歌の第五百四十八首も「神垣」で始まっている。
二句「木の丸殿に」は、丸木で造った仮の御殿にの意で、天智天皇が筑前の朝倉に設けた行宮を指す。
三句「あらねども」は、ないけれどもの意で、打消の「ず」の已然形に逆接の「ども」が付いている。
四句「名のりをせねば」は、名を名のらなかったのでの意で、本歌である天智天皇の歌の「名のりをしつつ」を踏まえている。
結句「人とがめけり」は、人がとがめたことだの意で、詠嘆の「けり」で結んでいる。
きのまろどの:丸木で造った御殿。天智天皇が筑前の朝倉に設けた行宮
なのり:自分の名を名のること
とがむ:怪しんで問いただす
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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天の川これや流れの末ならむ 空より落つる布引の滝
- 次の歌
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神垣のあたりと思ふにゆふだすき 思ひもかけぬ鐘の声かな