いとせめて恋しき時は播磨なる
飾磨に染むるかちよりぞ来る
- 歌の意味
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ひどく恋しい時は、播磨の飾磨で染める褐色ではないが、徒歩でやって来ることだ。
- 鑑賞
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巻第十一 異本歌 717
恋しさが募ってたまらない時には、播磨の飾磨で染める褐の名のように、乗り物も待たずに徒歩でやって来る、と詠む歌である。染め物で知られた飾磨の「褐」に「徒歩」を掛け、恋しさのあまり歩いてでも逢いに来る心の切なさを表している。
本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本では、本集の巻末歌である巻第十の第六百六十五首のあとに置かれた恋の歌の一つであり、本巻の巻末歌である。前歌の第七百十六首も、染め物に寄せる恋の歌である。
初句「いとせめて」は、ひどく切実にの意である。
二句「恋しき時は」は、恋しい時はの意である。
三句「播磨なる」は、播磨国にあるの意で、四句の「飾磨」にかかる。
四句「飾磨に染むる」は、飾磨で染めるの意で、三句とともに結句の「かち」を導く序詞となっている。本巻の第七百十六首の四句「涙に染まる」と同じく、染めることを詠んでいる。
結句「かちよりぞ来る」は、徒歩でやって来るの意で、濃い紺色の「褐」と、徒歩の「徒」を掛けている。係助詞「ぞ」を受けて連体形「来る」で結ぶ係り結びとなっている。
しかま:播磨国の地名。染め物で知られた
かち:濃い紺色の「褐」と、徒歩の「徒」を掛ける
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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あくといふこともしらばや紅の 涙に染まる袖やかへると