あくといふこともしらばや紅の
涙に染まる袖やかへると
- 歌の意味
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あくというものを知りたいものだ。紅の涙に染まった袖の色が、それで変わるかと思って。
- 鑑賞
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巻第十一 異本歌 716
染め物の色を抜く灰汁というものを知りたい、紅の涙に染まった袖の色が変わるかと思って、と詠む歌である。「灰汁」に「飽く」を掛け、恋に飽きることを知ることができれば、血の涙に染まった袖ももとに戻るだろうと言い、絶えない恋の苦しみを表している。
本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本では、本集の巻末歌である巻第十の第六百六十五首のあとに置かれた恋の歌の一つである。次歌の第七百十七首も、染め物に寄せる恋の歌である。
初句「あくといふ」は、あくというの意で、染め物の色を抜く「灰汁」と、心が満ち足りて離れる「飽く」を掛けている。
二句「こともしらばや」は、ことも知りたいものだの意で、終助詞「ばや」が自己の願望を表し、二句切れの歌である。
三句「紅の」は、紅色のの意で、血の涙を表している。
四句「涙に染まる」は、涙に染まったの意である。本巻の第七百十七首の二句から三句「飾磨に染むる」と同じく、染めることを詠んでいる。
結句「袖やかへると」は、袖の色が変わるかと思っての意で、二句と倒置になっている。「灰汁」「紅」「染まる」「かへる」が縁語となっている。
あく:染め物の色を抜く「灰汁」と、心が満ち足りて離れる「飽く」を掛ける
かへる:色があせる、色が変わる
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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身のほどを思ひ知りぬることのみや つれなき人の情けなるらむ
- 次の歌
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いとせめて恋しき時は播磨なる 飾磨に染むるかちよりぞ来る