- 表題
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- 古今和歌集
古今和歌集 - 素性法師
よそにのみあはれとぞ見し梅の花
あかぬいろかはおりてなりけり
遠くから眺めるばかりだった素晴らしい梅の花の、いくら見ても見飽きることのない色や香りは折り取ってはじめて本当に知ることができた。
古今和歌集 - 凡河内みつね
月夜にはそれとも見えず梅の花
かをたづねてぞしるべかりける
月夜では光ですべて白く照らされて、どれが梅の花か見分けられなかったので香りをたどって行って梅の花がどれかを知るべきであったことよ。
古今和歌集 - 凡河内みつね
春の夜のやみはあやなし梅の花
色こそ見えねかやはかくるる
春の夜の闇は本当にしょうがない。闇の中では梅の花の色は見えないが、香りは隠れるであろうか、隠れることはないのだから。
古今和歌集 - 紀貫之
人はいさ心もしらずふるさとは
花ぞ昔のかににほひける
あなたは私のこともご存知なくそのようにおっしゃるが、昔なじみのこの宿では梅の花だけが私の心をよく知っていて、昔と変わらない香りで私を迎えてくれている。
古今和歌集 - 紀貫之
くるとあくとめかれぬものを梅の花
いつの人まにうつろひぬらむ
梅の花を日が暮れるからと言っては見て、夜が明けたからと言っては見て、目を離さないでいたのに、いつの人のいない間に散りかけてしまったのだろうか。
古今和歌集 - 素性法師
ちると見てあるべきものを梅の花
うたてにほひのそでにとまれる
花が散るのを眺めて終わってしまうべきなのに、梅の花はよけいなことにいつまでも袖に移り香となって残っていることよ。