古典和歌stream

伊勢物語

君があたり見つつを居らむ生駒山
雲なかくしそ雨は降るとも

あなたがいる辺りを遠く見続けてじっとしていましょう。雲よ、たとえ雨が降っても大和との間にそびえる生駒山を隠さないでほしい。

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伊勢物語

君来むといひし夜ごとに過ぎぬれば
頼まぬものの恋ひつつぞふる

あなたが来ると言った夜ごとに、来てくれないので待ちぼうけのまま、むなしくすぎてしまう。このごろは当てにはしていないけど、恋しつづけながら時を過ごしている。

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伊勢物語

あらたまの年の三年を待ちわびて
ただ今宵こそ新枕すれ

三年の間を待ちくたびれて、今夜こそは新しい人と共に過ごすのです。

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伊勢物語

梓弓ま弓槻弓年をへて
わがせしがごとうるはしみせよ

押したり引いたり、たわめたりしながら何年もの間に私があなたにしたように新しい夫を愛し仲良くしなさい。

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伊勢物語

梓弓引けど引かねど昔より
心は君によりにしものを

あなたが私の心を引こうが引くまいが、昔から私の心はあなたに寄り添って離れないでいたのに

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伊勢物語

あひ思はで離れぬる人をとどめかね
わが身は今ぞ消えはてぬる

私は愛しているのに、同じようには私のことを思ってくれないで離れ去ってしまう人を引き止めることができなくて私は今、消え果ててしまう。

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伊勢物語

秋の野に笹わけし朝の袖よりも
逢はでぬる夜ぞひぢまさりける

秋の早朝の野原で露に濡れた笹を分けた袖よりも、あなたに逢はないで一人寝をする夜の方がずっと涙で袖が濡れる。

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伊勢物語

みるめなきわがみをうらと知らねばや
かれなで海人の足たゆくくる

海松布(みるめ)も生えない海岸と同じで見る所もない私を知らないのか、離れず漁師が足を引きずってやってくる。

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伊勢物語

思ほえず袖にみなとのさわぐかな
もろこし船のよりしばかりに

思いがけず袖のところで、まるで港の水が荒れて波立つような騒ぎだ。大きな中国の船が港に寄港しただけのことで

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伊勢物語

我ばかり物思う人は又もあらじと
思へば水の下にもありけり

私くらい物思いをする人はほかにいないだろうと思ったが、たらいの水面の下にもいた。

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伊勢物語

水口に我や見ゆらむかはづさへ
水の下にて諸声になく

盥(たらい)の水の取入れ口のところに私の姿が映っている見えるのでしょうか。田に水を引き込む取入れ口のあたりでは蛙さえ声を合わせて鳴くもので、私もあなたと声を合わせて泣いているのだ。

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伊勢物語

などてかくあふごかたみになりにけむ
水もらさじとむすびしものを

どうしてこのように逢う時が得がたくなってしまったのだろうか。水の漏れるすきまもないように固く契りを結んでいたものを

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伊勢物語

花にあかぬ歎きはいつもせしかども
今日のこよひに似る時はなし

美しい花を見ても飽きることはなく、いつまでも見ていたいという嘆きは花を見るといつもあったが、今日のこの夜のように強く思うことはこれまでになかった。

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伊勢物語

あふことはたまの緒ばかりおもほえて
つらき心の長く見ゆらむ

あなたに逢うことは玉と玉の間の紐のように短く思えて、なかなか逢ってくれない無情な心はいつまでも長く続いて見えるでしょう

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伊勢物語

罪もなき人をうけへば忘草
おのが上にぞ生ふといふなる

罪もない人を呪うようなことをすると、忘れ草が自分の身に生えて人に忘れさられてしまうという

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伊勢物語

いにしへのしづのをだまき繰りかへし
昔を今になすよしもがな

昔の織物の糸をつむいで巻き取った糸玉から糸を繰り出すように過去を今にしたいものだ

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