年を経て思ふ心のしるしにぞ
空もたよりの風は吹きける
- 歌の意味
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長い年月あなたを思い続けてきた心のしるしとして、空までもがよい便りの風を吹かせてくれたことだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 998
詞書「人の文つかはして侍りける返事にそへて女につかはしける」
年を経た思いを詠む一連の一首目である。長年思い続けた心のしるしとして、空までも便りの風を吹かせてくれたと、思いを伝える機会を得た喜びを詠む。詞書によれば、人から手紙が届き、その返事に添えて女に贈った歌である。
作者の「藤原高光」は右大臣藤原師輔の子である。三十六歌仙の一人で、右少将に至ったが、若くして出家して比叡山横川に入り、のち多武峰に住んで多武峰少将と呼ばれた。
初句「年を経て」は、年月を重ねて、の意で、長く続いた思いを示す。
二句「思ふ心の」は、思い続けてきた心の、の意である。
三句「しるしにぞ」の「しるし」は、効き目、あらわれの意である。「ぞ」は強意の係助詞で、結句の「ける」で結ぶ。
四句「空もたよりの」の「たより」は、都合のよい機会の意と、手紙の意を掛ける。空までもが、と思いを伝える機会を天の計らいのように言う。
結句「風は吹きける」は、便りを運ぶ風が吹いたことだ、の意で、「ける」は気づきの詠嘆である。次歌も「年月は」と起こし、長い年月にわたる思いを詠んでおり、年を経た恋が二首並べられている。
しるし:効き目、あらわれ
たより:よい機会の意と、手紙の意を掛ける
- 作者
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藤原高光
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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園原や伏屋に生ふる帚木の ありとは見えて逢はぬ君かな
- 次の歌
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年月は我が身に添へて過ぎぬれど 思ふ心のゆかずもあるかな