もろともにあはれと言はず人知れぬ
問はず語りを我のみやせん
- 歌の意味
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あなたと一緒に「あわれ」と言い合うこともなく、人に知られない問わず語りを、私ひとりがするのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1000
詞書「返し」
年を経た思いを詠む一連の三首目で、前歌への返歌である。共に「あはれ」と言い合うこともなく、人知れぬ問わず語りを私ひとりがするのかと詠み、贈歌の「思ふ心」に応じる。詞書によれば前歌の源高明への返しである。
作者の「大納言俊賢母」は右大臣藤原師輔の娘である。源高明の妻となり、大納言源俊賢を生んだ。
なお本文の二句は「あはれといはす」とあり、読み仮名の行の「あはれといはすは」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「もろともに」は、あなたと一緒に、の意である。
二句「あはれと言はず」は、しみじみとした思いを言い合うこともなく、の意である。本文に従えば二句は六音の字足らずとなる。
三句「人知れぬ」は、人に知られない、の意で、次の「問はず語り」にかかる。
四句「問はず語りを」は、人に尋ねられもしないのに自分から語り出すことである。贈歌の「思ふ心」を受け、互いに通わせるのでない思いを、一方的な語りとして言い表している。
結句「我のみやせん」の「や」は疑問の係助詞で、「せん」で結ぶ。私ひとりがするのだろうか、の意である。「もろともに」と「我のみ」が初句と結句で対をなし、思いは互いに言い交わしてこそのものだと応じている。
とはずがたり:人に尋ねられないのに自分から語ること
- 作者
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大納言俊賢母
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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年月は我が身に添へて過ぎぬれど 思ふ心のゆかずもあるかな
- 次の歌
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人づてに知らせてしがな隠れ沼の みごもりにのみ恋ひやわたらん