人づてに知らせてしがな隠れ沼の
みごもりにのみ恋ひやわたらん
- 歌の意味
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せめて人づてにでも知らせたいものだ。隠れ沼の水の下に隠れるように、心に秘めたまま恋い続けてゆくのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1001
詞書「天暦御時歌合に」
忍ぶ恋を詠む一連の一首目である。人づてにでも思いを知らせたいと願い、隠れ沼の水の下に隠れるように、心に秘めたまま恋い続けるのかと嘆く。詞書によれば天暦の御時の歌合で詠まれた。
作者の「中納言朝忠」は藤原朝忠である。三条右大臣藤原定方の子で、従三位中納言に至った。三十六歌仙の一人である。
天暦御時は村上天皇の治世を指す呼称で、天暦は村上天皇の代の年号である。
初句「人づてに」は、人を介して、の意で、直接には言えない思いであることを示す。
二句「知らせてしがな」の「てしがな」は願望を表し、せめて知らせたいものだ、の意である。ここで二句切れとなる。
三句「隠れ沼の」の隠れ沼は、草などに覆われて水面の見えない沼で、次の「みごもり」を導く。
四句「みごもりにのみ」の「みごもり」は水の中に隠れることで、心の中に思いを秘めることをたとえる。
結句「恋ひやわたらん」の「や」は疑問の係助詞で、「らん」で結ぶ。本巻の第九百九十三首の人麿歌と同じ結句で、表に出せない恋を続けるのかという嘆きが重なる。次歌は「みごもりの」と起こしてこの歌の四句を受け、忍ぶ恋が続けて並べられている。
かくれぬ:草などに覆われて水面の見えない沼
みごもり:水の中に隠れること
- 作者
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藤原朝忠
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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もろともにあはれと言はず人知れぬ 問はず語りを我のみやせん
- 次の歌
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みごもりの沼の岩垣つつめども いかなるひまに濡るる袂ぞ