みごもりの沼の岩垣つつめども
いかなるひまに濡るる袂ぞ
- 歌の意味
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水に隠れた沼を岩垣が囲むように、思いを包み隠しているけれど、いったいどんなすきまから漏れて濡れる袂なのか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1002
詞書「はじめて女につかはしける」
忍ぶ恋を詠む一連の二首目である。沼を岩垣で囲むように思いを包み隠しているのに、どこから漏れて袂が涙に濡れるのかと詠む。詞書によれば、はじめて女に贈った歌である。
作者の「大宰大弐高遠」は藤原高遠である。参議藤原斉敏の子で、藤原実資の兄にあたり、大宰大弐に任じられた。
初句「みごもりの」は、水に隠れた、の意で、前歌の四句の語を受けて起こしている。
二句「沼の岩垣」は、沼のまわりを垣のように囲む岩である。
三句「つつめども」は、包み隠しているけれども、の意で、岩垣が水を囲い込むさまと、思いを人目から隠すさまを重ねる。
四句「いかなるひまに」は、どのようなすきまから、の意である。囲んだ岩垣のすきまと、隠す心のすきとが重ねられている。
結句「濡るる袂ぞ」は、濡れる袂であることよ、の意で、「ぞ」で強く言い止める。はじめて贈る歌で、隠しきれずにあふれる涙を示し、思いの深さを訴えている。次歌の謙徳公歌も三句に「つつめども」を置き、包み隠しても涙がこぼれることを詠んでおり、同じ句を共有する二首が並ぶ。
いはがき:垣のように周りを取り囲む岩
つつむ:包み隠す
ひま:すきま
- 作者
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藤原高遠
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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人づてに知らせてしがな隠れ沼の みごもりにのみ恋ひやわたらん
- 次の歌
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唐衣袖に人目はつつめども こぼるるものは涙なりけり