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我が宿はそこともなにか教ふべき
言はでこそ見め尋ねけりやと

歌の意味
私の家はどこそこだなどと、どうして教えられようか。言わずにおいて見ていよう、あなたが本当に尋ねてきたかと。
鑑賞
巻第十一 恋歌一 1006

詞書「堀河関白文など遣はして里はいづくぞと問ひ侍りければ」
 堀河関白との贈答二首の一首目である。里の家の場所をどうして教えられようか、言わずにおいて本当に尋ねてくるか見ていよう、と相手の思いを試す。詞書によれば、堀河関白が手紙などを寄こし、里はどこかと尋ねてきたので詠んだ歌である。
 作者の「本院侍従」は平安時代中期の女房である。家集に『本院侍従集』がある。
 堀河関白は藤原兼通で、堀河に邸があったことからこう呼ばれた。
 次歌は、この歌に対する兼通の返しである。

 初句「我が宿は」は、私の里の家は、の意で、兼通の「里はいづくぞ」という問いを受ける。
 二句「そこともなにか」は、そこだとも、どうして、の意で、「か」は反語の係助詞で、三句の「べき」で結ぶ。
 三句「教ふべき」は、教えることなどできようか、いやできない、の意で、ここで三句切れとなる。
 四句「言はでこそ見め」の「こそ」は強意の係助詞で、「め」で結ぶ。言わずにおいて様子を見よう、の意である。
 結句「尋ねけりやと」は、本当に尋ねて来るかどうかと、の意で、四句と倒置の関係にある。居所を教えずに相手の思いの深さを試す女の歌で、次歌の兼通の返しと贈答をなす。

さと:宮仕えの者が退出して住む自分の家
たづぬ:探し求めて訪ねる
作者
本院侍従
出典
新古今和歌集
前の歌
あらたまの年にまかせて見るよりは 我こそ越えめ逢坂の関
次の歌
我がおもひ空の煙となりぬれば 雲居ながらもなほ尋ねてん