我がおもひ空の煙となりぬれば
雲居ながらもなほ尋ねてん
- 歌の意味
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私の思いの火は燃えて空の煙となってしまったので、はるかな雲のあたりからでも、なおあなたを尋ねてゆこう。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1007
詞書「返し」
堀河関白との贈答二首の二首目で、前歌への返歌である。思いの火が空の煙となった身は、雲のあたりからでもなお尋ねてゆこうと詠み、居所を教えない女に応じる。
作者の「忠義公」は藤原兼通である。右大臣藤原師輔の次男で、兄伊尹の後を受けて関白太政大臣に至った。忠義公は諡で、堀河に邸があったことから堀河関白とも呼ばれる。
初句「我がおもひ」の「おもひ」は、恋の思いに「火」を掛ける。
二句「空の煙と」は、思いの火が燃えて空に立ちのぼる煙となって、の意で、「火」と「煙」が縁語となる。
三句「なりぬれば」は、なってしまったので、の意で、確定条件を表す。
四句「雲居ながらも」は、はるかな雲のあたりにありながらも、の意で、煙となった身は空の高みからでも、と言う。
結句「なほ尋ねてん」の「てん」は強い意志を表し、居所を教えられなくとも、なお探し当てよう、の意である。前歌の「尋ねけりやと」を受けて「尋ねてん」と応じ、試す女にどこまでも尋ねる意志を示す。次歌からは煙を詠む歌が続き、この歌の「空の煙」がその一連を導いている。
おもひ:恋の思いの意と、火の意を掛ける
くもゐ:はるかな空、雲のあるあたり
- 作者
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藤原兼通
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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我が宿はそこともなにか教ふべき 言はでこそ見め尋ねけりやと
- 次の歌
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しるしなき煙を雲にまがへつつ 夜を経て富士の山と燃えなん