- 歌の意味
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風が吹くと室の八島の夕煙が空に立つように、心もうわの空になって、恋の思いが立ちのぼってしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1010
詞書「女につかはしける」
恋の煙を詠む一連の三首目である。風に吹かれて立つ室の八島の夕煙に寄せて、心がうわの空になるほどの恋を詠む。詞書によれば女に贈った歌である。
作者の「藤原惟成」は右少弁藤原雅材の子である。花山天皇の側近として権左中弁に至り、天皇の出家に従って自らも出家した。
初句「風吹けば」は、風が吹くと、の意で、煙を立ちのぼらせるものとして置かれる。
二句「室の八島の」の室の八島は下野国、今の栃木県栃木市の大神神社のあたりとされる歌枕で、水気が煙のように立つとされ、煙を詠むのが習いとなった。
三句「夕煙」は夕方に立つ煙で、初句からここまでが、下の「立ち」を導く序詞となる。
四句「心の空に」は、心がうわの空になって、の意で、夕煙の立つ空と、落ち着かない心とを重ねる。
結句「立ちにけるかな」は、煙が立つさまと、恋の思いが立つさまを重ね、詠嘆の「かな」で結ぶ。前二首の富士の煙に続き、東国の歌枕である室の八島の煙が置かれ、煙の一連をしめくくっている。
むろのやしま:下野国の歌枕で、煙を詠むのが習いとされた地
- 作者
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藤原惟成
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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煙立つおもひならねど人知れず わびてはふしのねをのみぞ泣く
- 次の歌
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白雲の峰にしもなど通ふらん 同じ三笠の山の麓を