- 歌の意味
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白雲はどうしてわざわざ峰にばかり通うのだろうか。同じ三笠の山の麓をさしおいて。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1011
詞書「文つかはしける女に同じ司の上なる人通ふと聞きてつかはしける」
山に寄せて恋を詠む一連の一首目である。白雲がなぜ同じ山の麓をさしおいて峰にばかり通うのかと、女が自分より上の官の男に心を寄せることを恨む。詞書によれば、手紙を贈っていた女のもとに、同じ役所の上官が通うと聞いて贈った歌である。
作者の「藤原義孝」は謙徳公藤原伊尹の子である。右少将に至ったが、天然痘により二十一歳の若さで没した。書家として名高い藤原行成の父である。
初句「白雲の」は、峰にかかる白雲で、女をたとえる。
二句「峰にしもなど」の「しも」は強意で、「など」はどうして、の意である。峰は同じ役所の上官をたとえる。
三句「通ふらん」の「らん」は原因推量で、なぜ通うのだろうか、の意である。ここで三句切れとなり、下の句と倒置になる。
四句「同じ三笠の」の三笠の山は大和国春日の山で、天皇を守る近衛府の異称ともされた。作者と上官がともに近衛府に仕えていることを踏まえる。
結句「山の麓を」は、同じ山の麓である自分をさしおいて、の意である。峰と麓の上下の対比によって官位の上下を恋の優劣に重ね、恨みを軽妙に言い表している。巻頭の第九百九十首も「峰の白雲」を詠み、高い峰にかかる白雲が、手の届かない相手の姿として重なる。
つかさ:役所、官職
みかさのやま:大和国春日の山で、近衛府の異称ともされる
- 作者
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藤原義孝
- 出典
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新古今和歌集
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風吹けば室の八島の夕煙 心の空に立ちにけるかな
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