人知れず思ふ心はあしひきの
山下水のわきやかへらん
- 歌の意味
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人知れずあなたを思う私の心は、山の木陰を流れる水が湧き返るように、激しく沸き立っているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1015
詞書「初めて女につかはしける」
山に寄せて恋を詠む一連の五首目である。人知れず思う心は、山の下を流れる水が湧き返るように激しく乱れているのだろうかと詠む。詞書によれば、はじめて女に贈った歌である。
作者の「大江匡衡朝臣」は、文章博士を務めた平安時代中期の学者である。式部大輔に至り、一条天皇の侍読を務めた。妻は歌人の赤染衛門である。
初句「人知れず」は、人に知られないで、の意である。
二句「思ふ心は」は、あなたを思う心は、の意である。
三句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
四句「山下水の」の山下水は、山の木陰を人目に触れずに流れる水で、人知れぬ思いのたとえとなる。
結句「わきやかへらん」は、水が湧き返る意と、心が激しく乱れる意を掛ける。「や」は疑問の係助詞で、「らん」で結ぶ。前歌まで筑波山に寄せた恋が続いたのを受け、山の下を流れる水へと目を移し、表は静かでも底で湧き返る思いを、はじめて贈る歌で訴えている。
やましたみづ:山の木陰を人目に触れずに流れる水
わきかへる:水が湧き返る意と、心が激しく乱れる意を掛ける
- 作者
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大江匡衡
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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我ならぬ人に心をつくば山 したに通はん道だにやなき
- 次の歌
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匂ふらん霞のうちの桜花 思ひやりても惜しき春かな